アーガイル産のピンクダイヤモンドは他のファンシーカラーダイヤモンドと同じくサイズが小さな割には高価なことから割高なのでは?と考える方もいらっしゃいます。確かに入手ができればの話ですが、0.5ct以上のルースの1カラットあたり単価は数千万円、0.2ctから0.5ctのレンジでもカラット単価は1千万円前後とたいへん高価です。
アーガイル産のピンクダイヤモンドが高く評価される背景を取り上げてみたいと思います。
1.類まれなる希少な天然の資源
2.主要鉱山の閉鎖
3.大きく成長しない鉱物学的な特性
4.出自が明らかで証明ができること
1.類まれなる希少な天然の資源であること
ピンクダイヤモンドは地球が生み出した宝物の中でも最も価値が高く希少なダイヤモンドの一つです。ピンクダイヤモンドの産出量はごくわずかであることから、同サイズはもちろんのこと数倍大きなサイズのカラーレスダイヤモンドよりも高価なのです。ピンクダイヤモンドは南アフリカやブラジルなどでもごく稀に産出されますが、昼光下でも魅力的な色味を保つ魅力的なピンクカラーのType1A (結晶格子に不純物として窒素原子のクラスターまたは凝集体を含むダイヤモンド)の原石を継続的に産出した鉱山はアーガイルに限られます。窒素等の微量元素だけでなく結晶構造の歪みが色味に影響受けたピンクダイヤモンドはラボでは人工生成できないこともピンクダイヤモンドの価値を高める一因です。
2.主要鉱山の閉鎖
リオ・ティント社が保有するアーガイル鉱山では80年代から2020年の鉱山の閉鎖まで、およそ40年間にわたり世界の9割のピンクダイヤモンドを産出しました。しかしながら2010年の後半になると産出量が大きく減少し、2020年以降には0.2ct以上のサイズはほとんど産出されなくなりました。こうした供給量の減少と最終的な鉱山の閉鎖を受けピンクダイヤモンドの価格はこれまで大きく高騰してきました。
3.大きく成長ができない鉱物学的な特性
GIA等の研究によると20億年前に生まれたアーガイル産のピンクダイヤモンドは原子欠陥構造の歪みが魅力的なピンクの色味を与えたと言われています。 2017年以降にアーガイルで産出されたピンクダイヤモンドのうち0.2ctを超えるサイズはわずか1割、0.9ct以上のサイズともなれば全体の0.14%しかありません。結晶が大きく成長ができない特性も小粒ながらも希少性が高いピンクダイヤモンドの特徴です。
4.出自が明らかで証明ができること
アーガイル鉱山を有するリオ・ティント社は、アーガイル産のピンクダイヤモンドの希少性や、色の鮮やかさ、自然の美しさ、豊かな実績、歴史的重要性を長年に渡り丁寧に説明を続けてきました。同社はピンクダイヤモンドの最も重要な要素である色味を正確に区分できる独自のカラーパレットを考案し、レーザー刻印や証明書を添付することでトレーサビリティをいち早く導入しました。投資家は原産地はもちろんのこと、カラット数、シェイプ、クラリティ、カラーが記載された証明書によって高い価値を証明できるのです。
※画像はアーガイル鉱山が1984年から2021年まで開催した毎年50~70点のトップクラスのピンク、レッド、ブルーダイヤモンドの限定入札会Argyle Pink Diamond Tender™の最後のコレクションのカタログカバーです。